テナントの防音工事費用はどれくらい?工事内容と金額を左右するポイント
サンテレビ「アサスマ! 」で防音工事の匠が紹介されました!
テナントを借りて飲食店や音楽スタジオ、ライブバーなどを開業する際、防音工事にどれくらいの費用がかかるのかは、気になるポイントのひとつではないでしょうか。テナントの防音工事は、一般的な内装工事のように面積だけで費用を判断することが難しい工事です。同じ広さの店舗であっても、音の種類や音量、建物の構造、求められる防音性能によって、必要な工事内容は大きく変わります。
例えば、隣接する店舗への話し声の漏れを抑えたい場合と、ドラムやベースなどの大きな音を外部に漏らさないようにしたい場合では、必要となる対策が異なります。そのため、テナントの防音工事費用を検討するときは、単純な金額の比較だけでなく、どのような工事が必要なのかを把握することが大切です。
この記事では、テナントの防音工事費用を左右する主な要素や、用途ごとの工事内容、見積書で確認したいポイントを解説します。実際の施工事例も紹介しますので、開業に向けた予算計画の参考にしてください。
テナントの防音工事費用が一律の相場を出しにくい理由
テナントの防音工事は、店舗の広さや業種だけで費用が決まるものではありません。どのような音を、どこに対して、どの程度まで抑える必要があるのかによって、工事の規模が変わるためです。
例えば、同じ20㎡程度のテナントでも、次のような違いが考えられます。
- ・隣のテナントへの話し声やBGMの漏れを抑えたい店舗
- ・カラオケや音響設備を使用する飲食店
- ・ドラムや管楽器などを演奏する音楽スタジオ
- ・ライブ演奏を行うバーやイベントスペース
音が小さく、対策する範囲も限られる場合と、大きな音や低音、振動まで考慮する必要がある場合では、必要な防音構造が異なります。また、壁だけを対策すればよいとは限りません。天井や床、窓、出入口、換気口、空調設備の配管など、音が伝わる経路を確認する必要があります。また、業種によって営業時間なども大きく異なるため、周辺環境にどの程度までの配慮が必要なのかも、最終的な防音性能に影響が出てくるのです。
そのため、テナントの防音工事費用については、坪単価や㎡単価だけで一律に判断するのではなく、現地の状況と必要な性能を踏まえて検討することが重要です。
テナントの防音工事費用を左右する5つのポイント
テナントの防音工事では、複数の条件が費用に影響します。見積もりを比較するときにも、金額だけでなく、どのような条件をもとに工事内容が決められているのかを確認しましょう。
1. 店舗の用途と発生する音の種類
まず重要なのが、店舗でどのような音が発生するのかという点です。話し声やBGMが中心の店舗と、ドラムやベースなどの楽器を使用する店舗では、必要な防音対策が異なります。
特に注意したいのが、低音や振動です。低い音は壁や床などの構造体を通じて広範囲に伝わることがあり、一般的な壁の補強だけでは十分な対策にならない場合があります。
例えば、次のような用途では、それぞれ異なる対策が必要になります。
- ・飲食店:話し声、BGM、厨房設備の音など
- ・カラオケ店舗:スピーカーから出る音声や低音など
- ・音楽スタジオ:楽器の演奏音、低音、床への振動など
- ・ライブバー:演奏音、観客の声、スピーカーの低音など
- ・ダンススタジオ:音楽に加えて、足音や床への衝撃など
店舗の用途を明確にし、どの音への対策が必要なのかを整理することが、適切な工事内容を検討する第一歩です。
2. 必要な遮音性能
防音工事では、どの程度まで音を小さくする必要があるのかによって、工事の内容が変わります。
例えば、隣のテナントに対する音漏れを抑えたい場合と、住宅が隣接する環境で深夜まで演奏する場合では、求められる対策が異なります。防音性能を検討するときには、音の大きさだけでなく、周辺環境や建物や営業の条件も考慮しなければなりません。
また、防音性能を表す指標のひとつに「Dr等級」があります。ただし、Dr等級の数字だけで工事費用が決まるわけではありません。どの部位でどのような性能を目指すのか、建物全体の条件も含めて検討する必要があります。必要以上に高い性能を目指すと、工事範囲や施工内容が大きくなる可能性があります。一方で、必要な対策が不足すると、開業後に音漏れの問題が発生するリスクが残ります。
3. 建物の構造と既存の状態
テナントが入っている建物の構造や、既存の内装・設備の状態も費用に影響します。例えば、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造では、音の伝わり方や必要な対策が異なります。また、同じ構造の建物でも、既存の壁や天井、床の仕様によって工事内容が変わります。
確認したいポイントは次のとおりです。
- ・建物の構造や築年数
- ・既存の壁・床・天井の仕様
- ・隣接する店舗や住居との位置関係
- ・窓や出入口などの開口部の状態
- ・空調や換気設備の配置
- ・既存設備をどこまで利用できるか
既存の内装を撤去する必要がある場合や、設備の移設が必要な場合は、その分の工事も見込まなければなりません。
4. 防音工事を行う範囲
防音工事を行う範囲も、費用を左右する大きな要素です。
例えば、隣接するテナントとの境界壁だけを対策する場合と、壁・床・天井を含めて店舗全体を防音構造にする場合では、工事の規模が大きく異なります。また、壁だけでなく、窓やドア、換気口などの開口部にも対策が必要になることがあります。音は、壁などの面だけでなく、隙間や設備の経路からも漏れる可能性があります。そのため、特定の場所だけを補強しても、期待した効果が得られない場合があります。
現地調査では、音が伝わる可能性のある経路を確認し、必要な範囲を見極めることが重要です。
5. 空調・換気・電気設備などの付帯工事
防音性能を高めるためには、壁や天井などの構造だけでなく、空調や換気設備についても考慮する必要があります。
例えば、防音室では外部との空気の出入りを確保しながら、換気口などから音が漏れにくい構造を検討する必要があります。また、エアコンの配管や電気設備の配線を通す部分も、施工方法によっては音漏れの原因になる可能性があります。
そのため、次のような工事が必要になることがあります。
- ・空調設備の移設や新設
- ・換気設備や消音対策
- ・エアコン配管部分の処理
- ・電気配線や照明設備の調整
- ・防音ドアや窓の設置
こうした付帯工事を見落とすと、当初の予算から追加費用が発生する可能性があります。防音工事と内装・設備工事を別々に考えるのではなく、全体の計画として整理しておくことが大切です。
店舗の用途によって必要な防音工事は異なる
テナントの防音工事では、店舗の用途によって対策すべき音や工事範囲が変わります。ここでは、代表的な業種ごとに、検討したいポイントを紹介します。
| 店舗・施設の用途 | 主な音の種類 | 検討したい対策 |
|---|---|---|
| 飲食店・バー | 話し声、BGM、厨房設備の音 | 隣接区画との境界壁、出入口、窓など |
| ライブバー | 楽器演奏、スピーカーの低音、観客の声 | 壁・床・天井、開口部、振動対策など |
| 音楽スタジオ | ドラム、ギター、ベース、管楽器など | 遮音構造、床の振動対策、換気経路など |
| カラオケ店舗 | 歌声、スピーカーの音、低音 | 各室の境界壁、ドア、天井、設備経路など |
| ダンススタジオ | 音楽、足音、床への衝撃 | 壁の遮音、床の防振、設備経路など |
上記はあくまで一般的な検討項目です。実際には、建物の構造や隣接する部屋の用途、営業時間などによって必要な工事が変わります。特に、楽器演奏や大きな音を伴う店舗では、空気を伝わる音だけでなく、床や建物の構造体を伝わる振動にも注意が必要です。
実際のテナント防音工事の施工事例から見る工事規模の違い
テナントの防音工事は、同じ店舗向けの工事であっても、用途や必要な性能によって施工内容が大きく変わります。
ここでは、防音工事の匠が実際に手掛けた施工事例を紹介します。いずれも大阪・兵庫エリアの施工事例ですが、テナントの防音工事を検討する際の参考として、工事規模や対策内容の違いを見ていきましょう。
事例1:MUSIC BAR hama.のアジト|演奏を楽しめる店舗の防音工事

兵庫県神戸市武庫之荘のMUSIC BAR hama.のアジトでは、ライブ演奏を楽しめる店舗への改装に伴い、防音工事を実施しました。
この店舗では、ドラムやサックス、ベース、ギター、バイオリンなどの演奏が想定されていました。施工面積は24㎡、防音性能はDr75、工事期間は30日間です。
楽器演奏では、一般的な話し声やBGMとは異なり、大きな音や低音、床に伝わる振動なども考慮する必要があります。そのため、壁だけでなく、床や天井、窓、出入口、換気部分など、音が漏れる可能性のある箇所を含めた計画が重要になります。
この事例では、近隣住宅への音漏れを抑えることを目的に、店舗としての使いやすさにも配慮しながら防音工事を行いました。
事例2:GRANDSLAM|限られた範囲での部分的な騒音対策
大阪市中央区心斎橋のGRANDSLAMでは、テナントのトイレ部分や外部からの騒音に関する対策として、部分的な防音工事を実施しました。施工面積は5㎡、防音性能はDr35、工事期間は2日間です。
MUSIC BAR hama.のアジトのように店舗全体で楽器演奏への対策を行う工事とは異なり、こちらは限られた範囲を対象とした工事です。
このように、同じテナントの防音工事でも、店舗全体を対象とするのか、特定の場所だけを対象とするのかによって、工事範囲や施工期間は大きく変わります。
施工事例から分かること
2つの事例を比較すると、次のような違いがあります。
| 比較項目 | MUSIC BAR hama.のアジト | GRANDSLAM |
|---|---|---|
| 施工面積 | 24㎡ | 5㎡ |
| 防音性能 | Dr75 | Dr35 |
| 工事期間 | 30日間 | 2日間 |
| 工事の方向性 | 楽器演奏を想定した店舗の防音工事 | 特定箇所を対象とした部分的な騒音対策 |
この2つの事例から分かるのは、施工面積だけで工事の規模を判断できないということです。
ただし、施工面積、防音性能、工事期間だけで費用を計算することはできません。また、これらの施工事例では工事金額を公開していないため、金額の比較はできません。実際の費用を把握するには、現地の状況や必要な対策を確認したうえで、工事内容ごとに見積もりを取る必要があります。
開業に向けて、店舗での防音工事の必要性を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。
テナントの防音工事で見積書を確認するときのポイント
防音工事の見積もりを取ったら、合計金額だけで判断するのではなく、どのような工事が含まれているのかを確認しましょう。
特に、次の項目は比較する際に確認しておきたいポイントです。
工事範囲が明確になっているか
壁・床・天井のどこを施工するのか、窓やドア、換気口などの開口部は対象に含まれているのかを確認しましょう。
「防音工事一式」とだけ記載されている場合は、具体的な施工範囲が分かりにくいことがあります。
使用する材料や施工方法が分かるか
防音工事では、使用する材料だけでなく、どのような構造で施工するのかも重要です。
見積書や仕様書に、施工する部位や材料、施工方法などが記載されているかを確認してください。
空調・換気・電気設備の工事が含まれているか
防音工事と同時に空調や換気設備の調整が必要になる場合があります。
これらの工事が見積もりに含まれているのか、別途費用になるのかを事前に確認しておくと、予算の見通しを立てやすくなります。
内装工事や解体・撤去費用の扱い
既存の壁や天井を撤去する場合は、解体・撤去費用や廃材処分費用が発生することがあります。
また、防音工事後の仕上げや内装復旧が含まれているかどうかも確認しましょう。
防音性能の確認方法が明確か
工事後にどのような方法で防音性能を確認するのかも、事前に確認したい項目です。
性能測定を実施する場合は、測定の対象や方法、費用、報告書の有無などを確認しておくと安心です。
テナントの防音工事費用を抑えるために検討したいこと
防音工事の費用を抑えたい場合、単純に材料や施工範囲を減らすのではなく、必要な対策を整理して優先順位を決めることが大切です。
物件を契約する前に防音工事の可否を確認する
テナントを契約した後に、希望する防音工事ができないことが分かると、開業に向けた計画の見直しが必要になる可能性があります。
例えば、建物の構造や管理規約、貸主の意向によっては、壁や床、天井の変更に制限が設けられている場合があります。物件を選ぶ段階で、防音工事を予定していることを貸主や管理会社に伝え、工事の可否や条件を確認しておきましょう。
必要な防音性能と対策範囲を整理する
すべての壁や床、天井に同じレベルの対策が必要とは限りません。
音の発生源や隣接する部屋の位置関係などを確認し、どの部分にどのような対策が必要なのかを整理することが重要です。ただし、自己判断で対策範囲を減らすと、音漏れが残る可能性もあります。費用を抑える場合も、専門業者と相談しながら優先順位を決めましょう。
内装・設備工事と防音工事をまとめて計画する
防音工事の後に空調や換気設備の工事を追加すると、施工範囲によっては再度の解体や復旧が必要になる場合があります。
開業に向けた内装工事や設備工事と防音工事をまとめて計画することで、工程の重複や手戻りを避けやすくなります。
テナントの防音工事に関するよくある質問
開業に向けたテナントの防音工事に関して、お客様から良くいただく質問とその回答について簡単にまとめておくので、参考にしてみてください。
テナントの防音工事は何坪から対応できますか?
対応できる広さは、工事内容や建物の条件によって異なります。店舗全体の防音工事だけでなく、壁や一部の部屋など、限られた範囲を対象とした工事もあります。まずは店舗の広さや用途、希望する対策内容を整理して相談することが大切です。
テナントの防音工事はどれくらいの期間がかかりますか?
工事期間は、施工範囲や必要な防音性能、建物の状態などによって変わります。部分的な対策であれば短期間で施工できる場合もありますが、店舗全体を防音構造にする場合は、設計や設備工事を含めて長い期間が必要になることがあります。
開業日が決まっている場合は、物件探しや契約の段階から工事期間を考慮しておきましょう。
防音工事の費用は現地調査をしないと分かりませんか?
店舗の用途や広さなどから、おおまかな工事内容を検討できる場合はあります。しかし、正確な見積もりを出すには、建物の構造や既存の内装、音が伝わる経路などを確認する必要があります。
現地の状況を確認せずに金額だけで判断すると、後から追加工事が必要になる可能性もあるため、具体的な計画段階では現地調査を依頼することをおすすめします。
テナントの防音工事は物件契約後に相談しても間に合いますか?
契約後でも相談は可能ですが、工事内容によっては貸主や管理会社の承諾が必要です。また、建物の構造や管理規約によって希望する工事ができない場合もあります。
物件契約後に計画を変更するリスクを減らすためにも、可能であれば契約前から防音工事の相談を始めておくとよいでしょう。
まとめ|テナントの防音工事費用は用途と必要な性能を確認して検討しよう
テナントの防音工事費用は、店舗の広さだけで決まるものではありません。店舗の用途や発生する音の種類、必要な遮音性能、建物の構造、施工範囲、空調・換気設備など、さまざまな条件によって必要な工事が変わります。
そのため、費用を検討するときは、単純な坪単価や㎡単価だけで比較するのではなく、どのような対策が含まれているのかを確認することが大切です。また、テナントの防音工事は、物件契約後や開業直前になってから検討すると、工事内容やスケジュールの調整が難しくなる場合があります。音を出す業種で開業を予定している場合は、物件探しの段階から防音工事について相談し、必要な工事と予算を整理しておきましょう。
防音工事の匠では、店舗の用途や建物の状況に応じた防音工事についてご相談を承っています。テナントの防音工事を検討されている方は、まずは現在の計画やお困りごとをお聞かせください。
